新築住宅は高くて手が出ない?
「新築住宅は高い」
そんなイメージがありますよね。最近では中古住宅のリノベーションが話題になっていることもあり、予算を考えて新築より中古住宅を探す方が増えているのではないでしょうか。
いろいろと調べた結果、地域による差はありますが、実はローンをうまく組めば新築住宅はそれほど割高ではないということがわかったのです。
なぜ新築住宅は高いのか?
確かに、値段が高い新築住宅はいくらでもあります。その一方で、値段が安い家があるのも事実です。
値段と質が比例する?本当にそれが全てでしょうか。
安くて良い家を建てるために調べているうちに、今まで知らなかった住宅業界の不思議が見えてきました。
材料や建築にかかる費用以外に上乗せされているもの
家の販売価格の中には材料や建築にかかる費用の他、ハウスメーカーによって上乗せされている費用に違いがあるのです。
ここからは、調べてみてわかったことを具体的にお話ししていきますね。
敷地調査費や間取りの作成費用
とあるハウスメーカの展示場に見学へ行った時のことです。
まだ具体的なイメージが決まっていない段階から「とりあえず敷地調査をしてみましょうか」と言う営業マンがいました。
また、他のハウスメーカーでは土地が決まっていない段階で「とりあえず間取りを作ってみましょうか」と言いました。
確かに、敷地調査や間取り作成はお客様の希望を把握するために普通に行われることなのかもしれません。その一方で、そのハウスメーカーで敷地調査や間取り作成をしたけれど実際に契約まで至らなかったお客様が一定の割合でいるはずです。
そういった経費を一体誰が払うのかと言うと、家の販売価格に含まれています。つまり、そのハウスメーカーで契約したお客様が支払うのです。
一体何人分の経費を負担するのだろう…と思うと、ちょっと冷静に考えたい点ですね。
住宅展示場の管理維持費用
夢がたくさんつまった住宅展示場。どの家も立派で、洗練されていて、とても機能的ですよね。
こんな家に住めたらなぁ…と夢が膨らむ住宅展示場は、各ハウスメーカーの最高の技術で作られています。当然、標準装備から外れたオプションの設備がついていることが多く、大きな経費をかけて建てたものです。
そんなモデルハウスを常設展示して維持・管理し、営業マンを配置したりお客様をもてなすために飲み物やお菓子、子供用のおもちゃを用意したり。
これらの費用も、やはりそのハウスメーカーで契約したお客様が負担することになります。
広告費
週末前になるとテレビで流れる住宅見学会のCM。
新聞の折り込みやポスティングで頻繁に届くステキな家のチラシ。
有名なタレントが起用されていると、つい見てしまうのも事実ですが、こういった広告にかかる費用もまた家の販売価格に含まれていて、そのハウスメーカーで契約したお客様が支払う構造です。
家の受注額の4%が広告費だとすれば、2,500万円の家なら100万円が、3,000万円の家なら120万円が広告費ということですね。
人件費
有名なハウスメーカーの中には多数の営業マンを抱えている会社があります。そのお給料=人件費、これもまた家の販売価格に含まれている、つまり、契約したお客様が支払っているということです。
営業マンが高い家を勧めてくるワケ
これは実際にあったことなのですが、あるハウスメーカーで家を建てようかなと半ば心を決めかけていた時、予算より800万円程高い家を勧められました。
800万円の差額の内訳は太陽光発電システムとグレードの高い換気システム、間取りの拡大など、オプションがほとんどでした。営業マン曰く「安い家を買っても光熱費が高くつくんじゃ意味が無いですよ」ということです。
わが家では予算オーバーするなら断るという前提があったのでお断りしたのですが、この時の営業マンの言葉に引っかかるものを感じたのも事実です。
予算から800万円オーバーといえば、ちょうど私にとって金融機関から借りられる上限の金額に限りなく近い値段だったからです。
新築住宅にありがちなオプションの謎
家を買う側は良い家を安く買いたいもの。反対に、できるだけ多くの利益を出したいハウスメーカーはできるだけ高く売りたいと考えるのが普通ですよね。
どんなに良い家でもお客様の支払い能力を超えてしまうと当然売れなくなってしまうので、収入から住宅ローンの限度額を計算してその範囲内でオプションを提示するのです。
先ほどお話した予算から800万円オーバーのオプションは、こうして提案されたのだと後から知りました。
小さな家を作りたくないのが本音
小さい家も大きい家も、かかる手間はほとんど同じです。
言い換えれば、小さい家も大きい家も、利益の割合はほとんど同じということです。
販売価格に対して利益の割合が同じなら、大きな家を売った方が金額としては大きな利益が出ますよね。そうなると、やはりハウスメーカーの本音としては小さい家を作りたくないというのもわかる話です。
先ほどお話しした予算から800万円オーバーした間取りはまさにこれで、必要以上に大きなウォークインクローゼットや広い子供部屋、家族構成に対して大きすぎるパントリー、ゆとりのある階段など、確かに良い家にはなるのでしょうけれど、希望よりオーバースペックな家を提案されることがあるので気をつけたいポイントですね。
営業マンは建てた後のことまで気にしない?
ハウスメーカーの営業マンは新築後のアフターフォローまでしてくれますか?
家を買うのは多くの人にとって一生に一度のことですから、ハウスメーカーにとってもそのお客様は一度きりのお客様です。
そのため、「家を建てた後のことは気にしない」というスタイルの営業マンに当たらないようにしたいところです。
家は建てる時だけではなく、建てた後にも固定資産税や維持費、修繕費などさまざまな費用がかかるもの。ハウスメーカーによっては家本体だけではなく税金や保険、住宅ローンなど家を建てた後のことまで考えてくれる営業マンに出会えることがありますよ。
ハウスメーカーは最高の家を売りたい
各ハウスメーカーは当然のことながら自社の最高の家を売りたいと考えています。
最新の技術、最新の設備、他社とは違う特別な性能など、その家が良い家であることに違いはありません。
ただし、それがお客様の求めていない設備や性能だとしたら、どうでしょうか。
住宅展示場に行って説明を聞いているとどのハウスメーカーもそれぞれに良いところがあって他社と差別化していることがわかりますが、一体どのハウスメーカーが良いのかわからなくなってしまうかもしれません。
自社の良いところや他社との違いの説明も大切ですが、お客様の希望に沿うためにじっくり話を聞いてニーズを把握し、その希望が自社で実現可能なのかを考えられる会社こそ、お客様目線のハウスメーカーなのではないでしょうか。
予算に応じた家を建てる方法はいくらでもある
新築住宅が高いのには理由があります。
今まで契約に至らなかったお客様にかけた経費や住宅展示場の維持・管理費、広告費や人件費など、企業の経営のためとはいえ、家の販売価格に上乗せされているものを見ていると私は「うーん」と考えさせられてしまいました。
また、新築住宅が全て高いとは限らないのも事実です。
住宅ローンをうまく組むと新築住宅は割高でないことがわかったので、次回そのお話をしていきたいと思います。