「金融機関が貸してくれる金額=余裕を持って返せる金額」ではない
住宅展示場を見学していると、夢がふくらみますよね。
そこに営業マンがやってきて
「とりあえず仮審査だけ出してみましょうか。どれくらい借りられるかわかりますよ。」
…なんて言われたら要注意です。
実際、わが家もこの言葉を耳にして、
「奥さんも働きますよね?夫婦2人で3,000万円ずつ、合計6,000万円の家が建てられますよ!」
と言われたのでそのハウスメーカーはお断りしました。
マイホーム購入にかけられる予算は借りられる上限の金額ではありません。もちろん、借りられる上限の金額は安心して返していける金額ではありません。
夢のマイホームを手に入れたは良いけれど、住宅ローンの返済のためだけに働き、節約ばかりで生活が苦しくなってしまっては本末転倒ですよね。
では、ローンによる苦しみを回避するためには何が必要なのでしょうか。ポイントは3つあります。
- 借りられる金額と返せる金額の違いを知る
- 一生安心なマイホーム予算を計算する
- 住宅ローンを味方につける
これらのポイントに沿ってわが家が実際にやったことをご紹介します。
一生安心して暮らせるマイホーム購入予算って?
家を買うのは安心して暮らすためですよね。そのためには一生安心して暮らせる予算を知ることが重要です。
ライフプランシュミレーション
住宅ローンの返済額は年収の25%が目安と聞いたことがありますが、果たした本当でしょうか。家族構成やライフスタイル、人生の中でお金をかけたいポイントは人それぞれ。
わが家では
- 子供の教育費
- 仕事のキャリアアップ
- 余裕を持って暮らせる老後資金
など、お金をかけたいポイントがいくつかあり、家ばかりに予算を割くことはできないので、安心して返済ができる予算を考えてみることに。
そこで、家族構成や家計の収支、将来の計画を数字やグラフで目に見えるようにするライフプランシュミレーションをやってみました。
最長で40年という長期間にわたって続く住宅ローンですから、このライフプランシュミレーションの全ての期間で赤字にならない金額が安心して返済できる予算です。
わが家では生活費や子供の教育費、生命保険、車の購入および維持費、老後資金、固定資産税にやがて必要になる修繕費の積み立てなど、状況の変化に応じてシュミレーションをしました。
ちなみに、「20年、30年先は世の中が変わっているかもしれないし、予測できません」と言って長期間のライフプランシュミレーションを作成したがらない会社は要注意です。
その先には老後破綻が待っているかもしれません。
ライフプランシュミレーションは良心的な会社であれば相談にのってもらえるので、ハウスメーカーの担当者に聞いてみてくださいね。
知識をつけて住宅ローンを味方にしよう
住宅ローンの知識をつけると、住宅ローンは私たちの心強い味方になってくれます。
なぜなら、知識があるか無いかだけで数百万円もの差が生まれてしまうことがあるからです。
金利の比較検討
0.1%と聞いて大きいと感じるでしょうか、小さいと感じるでしょうか。実は金利が0.1%違うと支払総額は大きく変わってしまいます。
例えば、こちらの表を見てみてください。
借入金額 | 金利2.0% | 金利2.1% | 差額 |
---|---|---|---|
1,000万円 | 1,392万円 | 1,413万円 | 21万円 |
2,000万円 | 2,783万円 | 2,826万円 | 43万円 |
3,000万円 | 4,174万円 | 4,239万円 | 65万円 |
わかりやすいように返済期間を35年として金利2.0%と2.1%で支払い総額を計算してみたのですが、1,000万円の借り入れに対して2.0%の金利だと支払い総額は約1,392万円、2.1%だと約1,413万円で21万円の差が生まれます。
2,000万円の借り入れの場合、2.0%の金利だと支払い総額は2,783万円、2.1%だと2,826万円で43万円の差が生まれます。
借入金額が多くなればなるほど、この差は大きくなっていくのです。
同じ資金計画でも金融機関によって金利が違うので、わが家では複数の金融機関を比較して、好条件なのに金利が低い金融機関を見つけました。
家が保険代わりになる団体信用生命保険
住宅ローンはいざというときに家と住人を守ってくれます。
住宅ローンがあるのに一家の大黒柱にもしものことがあった場合、残された家族のその後の生活はどうなると思いますか?住宅ローンだけが残ったら大変ですよね。
実は、万が一の時には団体信用生命保険で住宅ローンの残債がなくなるのです。
団体信用生命保険(団信)は
- 一般団信
- ワイド団信
- がん特約
- 3大疾病特約
- 全疾病プラン
など、金融機関によってさまざまなプランが用意されています。
特にがん特約はメリットが多く、初めて癌と診断されると進行具合に関わらず住宅ローンの残債が0になる商品があります。
3大疾病や全疾病もそれぞれメリットが大きく、団信に加入することで高額になりがちな生命保険の見直しができて大変お得ですよ。
通常、保険料は0.2%の金利上乗せとなることが多いのですが、金融機関によっては金利上乗せをする所としない所があります。団信のプランや金利上乗せ分もあわせて金利を比較してみてくださいね。
保証料と事務手数料の違いを知る
住宅ローンを組む際に必要なのが保証料です。親や親戚などの保証人を立てず保証会社に代行してもらう費用と言うとわかりやすいですね。
この保証料は、金融機関によって呼び方が違うのですが、何か差があるのでしょうか?
- 保証料…借り換えをすると残り期間分の保証料が返金される
- 手数料…借り換えをしても残り期間分は返金されない
実はこのような違いがあるのです。
住宅ローンは一度組んだら終わりではなく、お得な新しい住宅ローンがどんどん登場しているので常に借り換えを頭に入れておくのがおすすめです。
そのため、借り換えで返金されない手数料がかかる金融機関よりも、借り換えで一部返金される保証料としている金融機関を選ぶと後々お得ですね。
自己資金と繰り上げ返済が不要な理由
わが家では自己資金0でマイホームを購入しました。
ハウスメーカー巡りをしていた当初は、どの営業マンも「頭金はどれくらい用意できますか?援助は?」と言っていたので頭金を用意するのが普通なのかなと思っていました。
わが家はそもそも貯蓄がほとんど無く、数百万円の頭金を用意するなんてとても無理だったのですが、お世話になっているハウスメーカーに出会ってからは自己資金を使わず全額住宅ローンで借り入れをした方がお得だということがわかりました。
なぜなら、住宅ローンほど金利の低い金融商品はないからです。しかも、住宅ローンは生命保険の役割も果たします。
金利の低い住宅ローンを使わずに自己資金を投入して、手元に現金を残さないとどうなるのでしょうか?
将来子供の学費がかかる時は学資ローンや教育ローンという金融商品を利用できますが、当然住宅ローンより高い金利がつきます。
車の買い換えの時はマイカーローンが利用できますが、こちらも住宅ローンより金利が高いです。
ケガや病気で収入が減ってしまったとき、手元に現金がないと生活に困ってしまいますよね。
生活費のためにカードローンを利用すると金利だけでどんどん膨れ上がって途方に暮れてしまうので注意が必要です。
これらのことから、低金利な住宅ローンを利用して自己資金はできるだけ手元に残しておくと安心です。
繰り上げ返済については言わずもがな、生命保険としての役割を果たしてくれるのですから、私なら繰り上げ返済をしてわざわざ保障期間を短くせず、返済も保障も細く長く続けたいと思います。
住宅ローンと税金の関係
家を購入すると
- 不動産取得税
- 住宅ローン控除
これらの税金が戻ってくることがあります。どちらも申告が必要なのでチェックしてみてくださいね。
収入が減ってしまった時の対処方法
考えたくはありませんが、住宅ローンを組んだ後に会社の業績が振るわず収入が減ってしまったり、はたまた転職や奥さんの妊娠・出産によって今まで通りの働き方ができなくなってしまったり、今の世の中なら何があってもおかしくはないですよね。
それによって住宅ローンの負担が大きくなった時はどうしたら良いのでしょうか。
- 住宅ローンの条件変更
- 住宅ローンの借り換え
これらの方法が考えられますが、まずは生命保険の見直しや無駄な出費がないか振り返りが必要です。
団体信用生命保険と特約の内容が重複しているものや、必要以上に高額な保障をつけていることがあるので、一度確認してみてくださいね。
それでも返済が苦しい時は手元の現金がなくなる前に詳しい人に相談する必要があります。
ハウスメーカーによってはマイホーム購入後の困りごとについて相談にのってくれる所がありますよ。
無理なローンを組まず、安心して返済できる予算を明確にすることはもちろん、お客様の目線に立ってくれる良いハウスメーカー選びが重要です。
安心の予算で夢のマイホームを叶えよう
ライフプランシュミレーションと住宅ローンの知識について、一部ご紹介しました。私が見聞きしたことや教わったこと、調べたことが中心なので全ての人に当てはまるとは言い切れないのですが、不安を抱えずに家を購入するために大切なことばかりです。
安心して払っていける予算を知って、夢のマイホームを叶えられたら良いですね。